Atom Heart Mother

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Atom Heart Mother

Pink Floyd

Atom Heart Mother

1970年
哲学や形而上学やらに最も凝るのはやはり男子大学生でしょうか?その年頃になると政治運動に走る人がいれば、平和運動をする人、マルクス主義にハマる人、文学気取りで恥ずかしい小説を書く人もいます。30過ぎて振り返るとその衒学志向が滑稽でなりません。黒歴史というやつです。よど号をハイジャックしたり、浅間山荘に立て篭ったりしたら最早目も当てられませんが(無論このアルバムとは無関係です)。
この「原子心母」はそんな若者達のために哲学的衒学を音楽でしでかしてしまった作品です。即ち、このアルバムは哲学を気取った若者のバイブルです。オススメの楽しみ方は、サルトルを読みながら聴いて、「云々」して、「カシコ」の仲間入りした気分になることです。因みにロジャー・ウォーターズはこの作品が嫌いだそうです。自分の衒学的黒歴史が滑稽なのかもしれませんね。果たして、どうでしょう?

ともかくタイトル曲を聴いてみると、A面全体に渡る23分の長さに辟易してしまいます。でも、さすがはピンク・フロイドです。オーケストラとクワイヤーを駆使しての浮遊感と音の怒涛はピカイチです。面倒臭い人には面倒臭い、好きな人はハマるタイプのニッチな楽曲です。

A面のこれ見よがしな仰々しさとうって変わってB面は全体的にホンワカ気味です。特に最後の「アランのサイケデリック・ブレックファースト」は、実験的な組曲ではあります。が、心地の良いフレーズや音使いで癒されるのです。何げなくBGMとしてかけるのも良いと思います。

筆者はサルトルもハイデガーも読んだことがないですが、このアルバムが切ないほどに愛おしくてなりません。

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