1970年
ウィッシュボーン・アッシュは、ツインリードギターの匠です。ドラムはジャジーです。ベースはよく動きます。それらが合わさって静と動の対比を緻密かつ大胆に表現します。
このアルバムは邦題「光なき世界」、デビューアルバムです。デビューにして、その音楽性の高さと完成度は非の打ちどころがありません。
特筆すべきはアルバム最後の10分の大曲「フェニックス」です。歌は少しだけでほぼインストで構成されていますが、最後まで飽きません。即興が即興を呼び、繰り返しの中でダイナミックに曲が展開していきます。不死鳥が飛び上がり、燃え尽き、灰から蘇り、再び空に舞い上がる様子が目に浮かぶようです。ギターのミュートブラッシングは舞い散る火の粉。そして2本のギターのハーモニーは不死鳥に生を与えるかのように曲を高潮状態に持ち上げます。